「山笑う」は、春の季語だと亡き父から教わりました。樹々の芽吹きもいきいきと花の咲く様子まで感じられ、春を描くにはなんてぴったりな言葉かと覚えています。
![春の野原](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=734x10000:format=jpg/path/sfcacc3816fcf094d/image/i8c70c2024617ae2c/version/1555324916/%E6%98%A5%E3%81%AE%E9%87%8E%E5%8E%9F.jpg)
もうすぐ令和ですが、爽やかな五月から始まるのにふさわしい元号です。「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が育つ」という意味だそう。万葉のいにしえに心をはせながら、前に読んだ本が思い出されました。「美しい日本の私」は川端康成のノーベル賞受賞記念講演全文で、わずか40ページの薄い本です。
![八重桜](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=321x1024:format=jpg/path/sfcacc3816fcf094d/image/i20ff902cb2847573/version/1555913367/%E5%85%AB%E9%87%8D%E6%A1%9C.jpg)
けれど、淡々とした書きようで意味が取りにくく、何回か読み返しました。そのうちに冒頭の道元禅師の和歌が心に残るようになりました。
春は花 夏ほととぎす 秋は月
冬雪さえて 涼しかりけり
当たり前のように見える四季の美しさ、それを深く感じる時、人はどんな思いなのでしょう…
![美しい日本の私ーその序説 川端康成 講談社現代新書0180](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=238x1024:format=jpg/path/sfcacc3816fcf094d/image/if561c40e70ffc23c/version/1555380019/%E7%BE%8E%E3%81%97%E3%81%84%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%A7%81%E3%83%BC%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BA%8F%E8%AA%AC-%E5%B7%9D%E7%AB%AF%E5%BA%B7%E6%88%90-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8%EF%BC%90%EF%BC%91%EF%BC%98%EF%BC%90.jpg)
この本の内容は、文学、禅、山水画、焼き物などを紹介しながら、そこに息づく美意識 にさらりと触れていきます。和歌を一つの道しるべに、日本文化を散策するかのようです。
新しい時代になります。
声高ではないけれど趣きある日本の言葉や文化を
ふり返るのも良さそうですね。
美しい日本の私ーその序説
川端康成 講談社現代新書0180
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