スマート林業

スマート林業とは、デジタル管理・ICT (情報通信技術)を使い、作業の効率化や安全性向上を目指す林業のことです。

 

スマート林業では、施業の計画から造林・育林、伐採・搬出、流通、木材利用など全ての工程で 様々な技術を活用することを目指しています。国内の労働人口の減少が予測されています。林業においても ICT技術を活用し、1 人当たりの生産性を向上させる事、と同時に労働安全の確保や雇用安定化で担い手の確保・育成をする事が重要な課題になります。技術開発のスピードは速く、(2018年の)10 年後には林業現場が大きく変わっているかもしれません。(林野庁のスマート林業実践マニュアルから一部を要約)

 

ネットで最新の林業の動画を見ていると、ドローンが山々の上空を飛んで3D地形図作成や苗木の運搬などで活躍しています。また、伐採の現場には、材木を決まった寸法で自動的に素早くカットする機械が働いています。高性能林業機械により自動化の進んだスマート林業の映像は驚きです。ただし、操作技術の習得と高額な投資が欠かせません。

 

そして、近年のデータによると、国内の木材需要はゆるやかに増加しており、円安の影響などで外材の輸入は減少しています。また、森林や事業体ともに、生産性向上のために集約化が推進されているようです。林業は厳しい状況をのりこえる方法を模索しているようです。

 

2024年から年間1000円徴収されている森林(環境)税ですが、ぜひ有効に使ってほしいものです。

 

 

木地師

ところで昔の林業といえば、山奥でコーン.コーンと木を切っている姿を思い浮かべますが、それは私の先祖「木地師」に似ています。

 

ここで木地師をざっと説明します。木地屋 、轆轤(ロクロ)師とも呼ばれ、日本各地で木の器などを作っていた職人集団で、「山の7合目以上の樹木を自由に伐採しても良い」という免許が与えられていました。平安時代のころから明治前まで、230人ほどの小集団(数家族)で山を移動し、 鉢.盆.椀.仏具などの生活用品を作りました。 明治以降は定住し、木地造りによって各地の漆器生産を支えてきました。

 

昔は山に分け入り木を伐採するのも運ぶのも重労働だったのでしょうが、幸い今では材木店に行けば自分の使いたい木を入手できます。とはいえ材木店も色々なのですが…。

 

 

材 木 店

 

 40年ほど前に私は木曽から伊豆の方に引っ越ししてきましたが、材木店がなかなか見つからず、昔お付き合いしていた名古屋の店まで買いに行ったこともありました。近くを探しても、値段が不安定なお店や欲しい木を入手できないお店などで本当に困りました。(どれほど腕が良くても、漆を空気に塗って漆器を作れるわけはないので。)

 

ところが、ある日静岡の街をてくてく歩いていると、自分のよく使う丸太を積み上げているお店を発見、そこで声をかけて木材を購入するようになりました。「犬も歩けば棒に当たる」を地で行くような話。後から知ったのですが、そこは静岡でも一番の広葉樹の材木店であり、また手堅い商売で大いに助けられました。

 

あまり知られていませんが、材木(木材)店といっても針葉樹を扱う店と落葉樹を扱う店とに別れています。樹種により専門店化しているのです。名称では○○材木店、△△材木店であり区別がつきませんが、扱う樹種は店によって異なります。建築材や角材が欲しいなら針葉樹を扱う店に、家具や漆器作りの木材が欲しいなら落葉樹を扱う店に行かなければなりません。

 

 けれど、材木店は山から直に木材を集めてくるわけではありません。原則的に山から伐採された木材は近くの原木市場に集まり、そこで木の種類や大きさなどの基準により仕分けされます。そして、材木店では各地の原木市場のセリに行き、自分の専門に扱う樹種を購入し集めているのです。

 

 ところで、徳川家康のおかげで静岡は木工芸が盛んです。駿府城や浅間神社の造営のため全国から名工が集められ、その後木工芸に従事する職人が住み着きました。現在でも静岡は家具や指物.下駄などの特産地になっています。この伝統のおかげで、広葉樹を扱う材木店が静岡に何軒もあったのです(全国的に見れば、広葉樹専門の材木店はかなり少ない)。

 

 この恵まれた環境に気付いた時、あまり見通しもなく静岡の伊豆に引っ越ししてきたのですが、私は運が良かったなぁとしみじみ思いました。

も山々はスギやヒノ木曾で暮らしていた時、木を購入するため大藏が名古屋まで行

《カミさんの一言》

 

木曾で暮らしていた時に、木材を購入するため大藏が名古屋まで行くのが、私は不思議でなりませんでした。家の周りをぐるっと見渡しても近くを車で走っても、山々はスギやヒノキなどの木がうっそうと生えていました。目の前にこんなに木が一杯あるんだから買って使えばいいのに、どうして遠い名古屋まで行くのだろう…?

 

ところが、木地を挽く大藏にとって、針葉樹がほぼ材料にならない木だとは、全く思いもよらないことでした。最近やっと分かって、私は納得です。