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山笑う

「山笑う」は、春の季語だと亡き父から教わりました。樹々の芽吹きもいきいきと花の咲く様子まで感じられ、春を描くにはなんてぴったりな言葉かと覚えています。

春の野原
野原のタンポポと手前はイタドリ

もうすぐ令和ですが、爽やかな五月から始まるのにふさわしい元号です。「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が育つ」という意味だそう。万葉のいにしえに心をはせながら、前に読んだ本が思い出されました。「美しい日本の私」は川端康成のノーベル賞受賞記念講演全文で、わずか40ページの薄い本です。

八重桜
八重桜

けれど、淡々とした書きようで意味が取りにくく、何回か読み返しました。そのうちに冒頭の道元禅師の和歌が心に残るようになりました。

 

  春は花 夏ほととぎす 秋は月

   冬雪さえて 涼しかりけり

 

当たり前のように見える四季の美しさ、それを深く感じる時、人はどんな思いなのでしょう…

美しい日本の私ーその序説 川端康成 講談社現代新書0180

 この本の内容は、文学、禅、山水画、焼き物などを紹介しながら、そこに息づく美意識 にさらりと触れていきます。和歌を一つの道しるべに、日本文化を散策するかのようです。

  

新しい時代になります。 

声高ではないけれど趣きある日本の言葉や文化を

ふり返るのも良さそうですね。

 

 美しい日本の私ーその序説      

  川端康成 講談社現代新書0180